ライフプラン

年金見込み額の調べ方とシミュレーション【2026年版】

「自分の年金、いくらもらえるんだろう?」50代になって急に気になり始める人が大半ですが、できれば30-40代から把握しておきたいのが年金の見込み額です。なぜなら、年金額が想定より少ない場合、現役時代の貯蓄・投資戦略を変える必要があるからです。

この記事では、厚生年金と国民年金の仕組み、加入年数別の受給額目安、ねんきん定期便の見方、繰上げ・繰下げ受給の損益分岐点、そして「年金だけで暮らせるのか」の現実までを解説します。

年金の2階建て構造を理解する

日本の公的年金は「2階建て」です。1階部分が全国民共通の国民年金(基礎年金)、2階部分が会社員・公務員のみが入る厚生年金です。自営業・フリーランスは1階のみ、会社員は1階+2階のセットで受給します。

会社員は厚生年金の保険料の中に国民年金分も含まれているため、別途国民年金を払う必要はありません。配偶者が専業主婦・主夫の場合は、第3号被保険者として保険料負担なしで国民年金がもらえます。

国民年金(基礎年金)の受給額

2025年度の国民年金の満額は年831,696円(月額69,308円)。これは20歳〜60歳の40年間(480カ月)すべて保険料を払った場合の金額です。1カ月でも未納があると、その分減ります。

計算式:

満額 × 保険料納付月数 ÷ 480

たとえば30年(360カ月)納付なら、831,696 × 360/480 = 年623,772円(月約52,000円)になります。

納付期間が足りない場合

受給資格期間は最低10年(120カ月)です。9年11カ月以下では1円ももらえません。20代で未納期間がある人は、60歳以降に「任意加入」して納付期間を伸ばすことができます(月17,510円を払い、年金額を増やす)。

厚生年金の受給額目安

厚生年金は、現役時代の平均標準報酬月額 × 加入年数で決まります。簡易計算式は以下:

厚生年金(年額) ≈ 平均年収 × 0.55% × 加入年数

たとえば平均年収500万円で40年加入なら、500万 × 0.0055 × 40 = 110万円/年(月約9.2万円)になります。これに1階の国民年金(約83万円/年)を足して、合計年193万円(月約16万円)が受給額の目安です。

年収×加入年数別の厚生年金早見表(年額)

平均年収20年加入30年加入40年加入
300万円33万円50万円66万円
400万円44万円66万円88万円
500万円55万円83万円110万円
600万円66万円99万円132万円
700万円77万円116万円154万円
800万円88万円132万円176万円
1000万円110万円165万円220万円

※標準報酬月額の上限(65万円)があるため、年収780万円超でも厚生年金の上限近くに収束します。

あなたの年金見込み額を計算してみよう

年金見込み額 簡易計算機

ねんきん定期便の見方

毎年誕生月に日本年金機構から届く「ねんきん定期便」が、年金見込み額を知る最も正確な手段です。形式は年齢で異なります。

定期便の下段に「将来の年金見込み額」が記載されています。50歳未満の場合は「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以上の場合は「現在の加入条件で60歳まで継続した場合の年金見込み額」が表示されます。

💡 ねんきんネットで詳細確認

マイナンバーカードがあれば「ねんきんネット」(オンライン)で、リアルタイムに年金見込み額を確認できます。転職した場合の年金額シミュレーション受給開始年齢を変えた場合のシミュレーションも可能です。

繰上げ・繰下げ受給の損益分岐点

年金は原則65歳から受給ですが、60〜64歳に「繰上げ」、66〜75歳に「繰下げ」もできます。

繰上げ受給

1カ月早めるごとに0.4%減額(最大60歳で24%減)。一生減ったまま。

繰下げ受給

1カ月遅らせるごとに0.7%増額(最大75歳で84%増)。一生増えたまま。

損益分岐点(65歳受給を基準)

受給開始増減率損益分岐年齢(累計で65歳受給超え)
60歳(5年繰上げ)−24%80歳11カ月で65歳受給に並ばれる
65歳±0%
70歳(5年繰下げ)+42%81歳11カ月で65歳受給を抜く
75歳(10年繰下げ)+84%86歳9カ月で65歳受給を抜く

つまり「自分が何歳まで生きるか」で最適な選択肢が変わります。健康寿命が長く長寿の家系なら繰下げが有利、健康に不安があれば繰上げ・通常受給が安全。FP実務では「標準受給(65歳)または70歳繰下げ」を勧めることが多いです。

Q&A

Q1. 年金だけで生活できますか?

A. 単身世帯で月15-20万円、夫婦で月20-25万円が一般的な年金収入。総務省の家計調査では高齢夫婦世帯の支出は月約27万円なので、毎月数万円の赤字が標準です。これを補うのが退職金・貯蓄・iDeCo・NISA・働き続ける収入になります。

Q2. 厚生年金の標準報酬月額の上限は?

A. 65万円(2025年度)。月収65万円超でも保険料・年金額の計算は65万円までで頭打ちです。これは「高所得者が払いすぎないようにする」と同時に「高所得者ばかり年金が増えない」設計です。

Q3. 専業主婦の年金はいくら?

A. 第3号被保険者として保険料負担なしで基礎年金(年約83万円)がもらえます。さらに離婚した場合、夫の厚生年金の一部を分割して受けられる「離婚分割」制度もあります。

Q4. 転職で厚生年金から国民年金になると損?

A. 厚生年金は給与×0.55%×加入年数で計算されるため、転職して期間が空いた分は確かに2階部分が積み上がりません。ただし国民年金(1階)は払い続ければ満額に近づきます。転職時の空白期間中は必ず国民年金に加入してください。

Q5. iDeCo は年金とどう違う?

A. iDeCo は「自分で運用する3階部分」です。公的年金(1階・2階)が不足するなら、iDeCo・NISA・退職金で「自分で作る年金」を増やすのが現代のスタンダードです。

📚 参考にした公的一次ソース

  • 日本年金機構「老齢厚生年金」「老齢基礎年金」
  • 厚生労働省「公的年金制度の概要」
  • 国民年金法・厚生年金保険法
  • ねんきんネット

最終確認日: 2026-05-12
次回確認予定: 2026年9月
改訂履歴: 2026-05-12 初版公開

くらしの計算機メディア 編集部

FP技能士2級 × Webエンジニア が共同執筆。お金の制度を「ブラックボックスにしない」を方針に運営しています。 記事の誤り・改善提案は お問い合わせ からどうぞ。
※ 本サイトは税理士事務所ではありません。個別の税務判断はご自身で税務署・税理士にご相談ください。